「ナイッシュー!」


その直後、翔がいきなり繰り出した力強いミドルシュートは

相手キーパーの手を見事すり抜け

奥のゴールネットを激しく突き上げて揺らした。



その瞬間、ピィーッ!と鳴り響いたホイッスルの音に

赤のユニフォームを着た男子たちが、いっせいに翔の元へと駆け寄って飛び乗り

嬉しそうに翔の頭をワシャワシャとかく。


「おい!やったな翔!」

「おまえマジすげぇ!!」

「俺、まさかあそこで翔がミドル飛ばして決めると思わなかったわ」


翔のミドルにすっかり興奮した様子の、同じチームの男子たちが

次々とその場に集まってきて声をかける。


でもその中心に立って注目を浴びている翔本人は、その結果に少しも喜ぼうとはせず

本心は何を考えているのか
ただ黙って、今のプレーで乱れた息を整えていた。