「え、ちょっ…?翔?!」


クジの中身を確認するなり、思わずハッと顔をあげたわたしに

翔は何も言わず、元来た場所へ戻ろうとするから、わたしはあわてて呼び止める。


だけど翔は一人ふてくされたように足を止めたかと思うと、こう言ったんだ。


「いらねーよ。そんなもん」

「!?い、いらないって…」


困惑気味のわたしの言葉も聞かず

翔は明らさまに不機嫌な様子で、顔をそむけたかと思うと

そのままズカズカと、仲間たちのいるところへあっさり戻って行ってしまった。


そんな翔に、わたしは一人ポカンとしつつも

しばらくして自分の引いたクジと、翔が引いたクジとを見おろして、黙りこむ。