病んでいても愛したい。



爬虫類とコンタクトを取るだなんて、何を考えたんだろうか。


「蛇すごいなぁ。ウロコまできちんと書いてある」


「……」


耳たぶから耳の穴付近をくすぐる十六夜。


びくりとしたが、これぐらいでは動じない。


三枚目は私はいなかった。


いたのは蜘蛛と蝶。
小さな蝶に比べ、やたらと蜘蛛がでかかった。


いや、蜘蛛が規格外に大きいのか。丸い無数の目やうぶ毛までよく再現されている。


十六夜の絵を見るのは二回目だった。前のときは私は書いてなかったが、書くとなると必ず十六夜は“暗いもの”を書く。


あえて人が絵に書かないものを書き、より似せて、より恐ろしくするのが彼女の画風だった。


蛇や蜘蛛。ドクロに十字架。血に近い夕日の海や真っ白の世界の真ん中にぽつんと小さくある赤い椅子。