何でとは言わない。
聞いたところでそんな状態になったことがない私では理解できないだろうから。
神楽でないのには残念だけど、代わりにいる滝君を責めたりなどしない。酷い的外れだ。
一個人として見ろと言われ、実際にそう思っている私が彼らを否定できるわけがない。
「あきた」
滝君が手錠遊びをやめて。今度は鍵を意味もなくベタベタ触り始める。
「きーちゃんはもうかえるの?」
「帰らないよ、どうして?」
「まえはそらがあかいから、カラスがなくからかえるっていってさよならしたから」
「あの時はね、今日は帰らないよ。……ずっと帰らない」
「ほんと」
滝君が鍵から目を離して、私に近づく。
ずいと身を乗り出してきたんで、思わずのけぞって引いてしまった。


