リビングから物音がする。
扉が開いた。ずいぶんとゆっくりで――少ししか開いていない。
神楽はいた。
でもじぃとこちらを見たまま入ろうとはしない。
じぃに加え、胸元に手を置いておどおどし始めた。
「神楽……?」
「カグラ、いないよ」
あれ、と首を傾げる。
神楽か深かと思ったのに、どうも“彼”はどちらでもない。
「どうしててじょうしてるの、きーちゃん」
「……、滝(たき)君?」
頷かれた。
私が名を呼ぶなり、彼――滝君が寝室に入ってくる。
おどおどしながらも、興味津々な目は幼稚園児が珍しいものに近づくのと変わりない。
「わるいことしたの?」
いつもよりも高い声。
膝を床に、手をベッドに置いた四つん這いの状態で滝君は聞いてきた。


