神楽の部屋から私の家まで距離がある。徒歩一時間ほどの距離。
何だか歩くのがだるくてバスを使うことにした。
来るときはタクシーだったけど、帰りもタクシーだなんてセレブな真似はできない。
バスが来るのは十分後ぐらい、待ちぼうけをくらうけど歩くよりは断然早い。
バスを待っているさなか、メールが届いた。
『気をつけて帰ってきてね』
それだけの文章。
でも、微笑み胸に熱いものがこみ上げる優しい一文だった。
まだ早い時間だ。
朝霧が軽く残っていて、寒かった。
周りには誰もいない。学生は早すぎるだろうし、社会人は車か電車を使うだろう。
一人だけの世界みたいだ、何だか。
虚しく、寂しく、寒くて。
他人がいないことに安心する。


