(一)


カチャリ、そんな音が夢の中でして目が覚めた。


目覚まし代わりのそれは、手錠だった。


うつらぁとしながら、手を引けば――ベッドの上部にある柵に繋がれたらしく、わずかしか右手が動かない。


辺りは暗い。夜目が効いているため、不都合はなくて。


「神楽……」


私に覆い被さる彼を見た。


多分は神楽。目つきからそうだと思う。


「私、何か悪いことした?」


随分とバカな質問だと自分でも思う。


けど、寝ぼけが入っているせいか、手錠する人は悪いことをしたから。だなんて変なことを真っ先に思ったのだ。


馬乗りになる神楽は、私の右手首と手錠を触り、首を振る。


「ずっと……一緒にいられるようにしたんだ」


「手錠しなくても、一緒にいてあげるよ」


ふるふると首が左右に動く。

薬の副作用か、脱力した体はだるそうで起きているのもつらそうな感じの体。