ひとしきりくだらない会話をして。


「切らないでと言っても、神楽は切るよね」


彼の包帯を触る。


「ごめん……」


「謝らなくていいよ。神楽は私の前では絶対にしないから……うん、私がずっと神楽のそばにいればいいのか」


「はは。楽園だね、それは」


「でも、一緒にいられない。ずっとは無理なんだよねぇ」


包帯が巻かれた腕をなぞり、指へ。

五指を絡めれば、神楽から握ってきた。


「無理、かな……」


「無理じゃなかったら、私は神楽から離れない。神楽が苦しんでいる時に離れたりなんかしない。

――だから、現実は嫌いだよ。でも、神楽と一緒にいられる時もあるから私は生きていける」


ぎゅっと私も握った。ずっと離さないように。