がりっと傷口をかきむしった朔技さんは、痛そうな顔をしながら。
「嫌だな、マジで。あたしだったら、殴りとばしたい。想像しただけで怒っちまうね。
愛する奴を心配させたくない。でも切りたい。なら隠れて切ろう。――車の中で、寝ている女の横で、ああ、マジ殺したい。
傷は残るんだよ、気づかれるんだよ、心配させたくないなら最初から切らなきゃいいだけで。
チッ、切っちまったらもう遅いんだから……」
血がしたたる腕を下ろして、申し訳なさそうに朔技さんが私を見た。
「泣かして、ごめん」
泣く私にただそれだけを言った。
頭をまた下に向けて、ボロボロ泣く。
指で目をこすっても、絶えずに流れていってしまう。
悲しかった、苦しかった。
朔技さんのセリフは全部私が想像したことだから。


