「……、神楽のためか、それ」
「はい」
「あんたのためはどこだ」
「……、いりません。神楽が苦しまないなら」
ティッシュ箱を投げられた。
私に当てる気は毛頭なかったらしく、適当なとこに飛んでいく箱。
驚いて顔をあげれば。
「泣いてるくせに」
同情と厳しさが混じったやるせない朔技さんの顔があった。
「大切な奴が傷つく悲しみを知っているから、あんたは“もうしないんだろ”。あんたがまさに今“そんな苦しみ”を味わっているから。
ああ、余計に嫌だろう。あんたは神楽が傷を増やしたのを知らなかった。あんたに隠れて、神楽は傷つけた。
はっ、愛情の裏返しかな、神楽も神楽であんたに心配かけたくないと隠れてやったみたいだけど」


