何度も再発信をしながら、私は部屋を出た。


神楽を探すためだ。


アパートの駐車場に神楽の車があったから、運が良ければそう遠くに行ってないかもしれない。


コンクリを足ではじき、息を切らしながら、夜に目を凝らして、出ない電話相手のために何度も指を動かした。


そんなことを繰り返す。それしか、できないんだ。


神楽がいないから落ち着けない。

神楽が死んだら生きていけないんだ、私は。


私が唯一愛せて、私を愛してくれる彼しか――私を生かせてはくれないのに。



「っ、は……っ」


頭がくらりとして、近くの塀に体を預ける。


数歩先には電灯があり、虫が光に集まり、ぶつかっていた。