「…いゃっ…は…離してっ……」 静かに眠っていたと 思っていた 矢口から 苦しそうな声がした. 「矢口!?」 すぐさま そばにかけよると 彼女は 眉間にシワをよせて 肩を小刻みに震わせていた. 「…いやだぁっ…っいやっ…」 手探りで なにかから 逃げようとする彼女を 気づいたら 抱き締めていた. 「大丈夫だ! …俺が、 …俺が ここにいる.」 もともと か細い体だったが よりいっそう華奢な 彼女を 精一杯 抱き締める.