あいつが

急に俺から離れていったのは

俺が滝口と

禁断を犯してしまった

ときぐらいから

だと自分でも

わかっている.







…わかってはいるが

ではなぜ

可憐は俺のことを

避けるのだろう.







…俺が

不純な教師だから?



…俺が

我を忘れて行為に走ったことを

誰かに聞いたのだろうか.











…はぁ.


とひとつため息をつく.







「…なぁ、おまえはもう

戻ってきては

くれないんだろうか.」






三日月でさえ

消えてしまった

真っ黒の夜空に

問いかける.






ふと俺は

自分の教師席に

ずっとおかれているものを

思いだした.





…ほこりのかぶっている

それを.




そして俺は

一人また

それをみたいがために

塾にもどった.