『…っ。』




自然と目がいってしまうのは

デスクの上に

銀色に光るものが入った

ほこりをかぶっている

ビニール袋。









…これをいつか

返せる日がくるのだろうか。



…あいつに。










…いや、

いつかまた

逢うことが

できるのだろうか。














そのとき。



俺の頭の中に

ひとつの考えが浮かんだ。











なんで俺が

この塾から

抜け出さないのか

ということに対しての

理由。











『…なぁんだ。

単純な理由だな。』







一人で呟いて

苦笑する。















…いつの日か。








あいつが

必ずここに

戻ってくるんじゃないか。









…そう期待しているから。