「作戦決行の日は、オシャレして出かけよう!鈴音、その日に私の行きつけの美容院で髪染めようよ。その間に、鈴音パパとうちの母親がどうにかなっちゃうんだよ!!チョーおもしろい!」




髪を染めたら、拓登に見せたいと思った。


拓登は何て言ってくれるだろう。




いじわるな拓登だから、きっと『似合ってねぇ』とか言うんだよ。



でも、そこにはちゃんと温かいものが流れてる。


だから傷つかない。


心地良いいじわるなんだ。





「鈴音?どうしたの?今、ニヤけてたよ?」



「ごめん!!ちょっと思い出し笑い!」




私が思い出し笑いをするなんてきっと生まれて初めてだ。



思い出したくない悲しい出来事ばかりの人生だったから。






たくと、タクト……拓登。



拓登の名前を心の中で呼んでみる。





心の中の汚いものが流れていく感じ。



透明の綺麗な水が、私の心を洗い流すような。





拓登、あなたは一体何者?