佳世さんのボディークリームの甘い匂いが漂うお風呂場。
私は自分の部屋から香水を持ってきて、お風呂場に振りかけた。
消毒終了。
こうして、私のささやかな反抗である『プチ家出』はあっけなく終わった。
「今度、コンパ来る?」
綾が携帯の写メを見せながら、私に擦り寄ってきた。
「誰?」
「おっさんの会社の後輩だって」
かっこよさげな男ばかりが写っていたので、周りの友達はみんな喜んでいた。
「私はいいわ。しばらく男とかいらない」
「そんなこと言って、鈴音は明日には彼氏作ってんでしょ~」
彼氏は裏切るけど、“拓登”は裏切らない。
私には拓登がいる。