ニット帽からちょっと出た前髪。 がっちりした手。 ごつごつした指輪がひとつ。 腕に巻かれた皮のブレスレット。 19歳って言ってたっけ。 とても年上には見えない。 声も透き通っている。 肌も私よりずっと綺麗。 「何があった?」 ギターを置いた少年は、程よい距離を保ったまま私を見つめた。 「別に……」 「名前は?」 「鈴音、阪本鈴音……」 「へー。名前だけはかわいいんだな」 よく言われる。 名前に似合わない性格だって。