会えるわかがない。 拓登は、バレンタインの夜にあんな場所に来ない。 彼女とどこかで食事をして楽しく過ごすんだから。 ってまたこんなこと言ってると綾に怒られる。 勝手に妄想するんじゃないよって。 綾はおっさんと仲直りをした。 おっさんは、今度綾のお母さんと私のお父さんに謝りたいと言ったらしい。 迷惑だけど、そうすれば全ての誤解が綺麗さっぱり消える。 「お姉ちゃん、一緒に飲まないか?」 おっさん並にキモいおやじが、声をかけてくる。 軽く無視して、歩き続ける。