「11時までには帰れよ。この辺も変なおじさん多いから」 「そっちこそ。中学生は早く帰りなよ」 ムっとした表情がちょっとお父さんに似ていて、不快になる。 この子は、笑った顔の方がいい。 「バカだろ、お前。俺、19だし」 「うっそー!ガキっぽく見える。はははは」 さっきまで泣いていた私が、今笑った。 この生意気な少年のせいで。 悪魔の微笑みで私をいじめるこの少年のおかげで。 笑うことができた。