「拓登のお父さんをぶん殴りたい」 ふと口から出た私の言葉に、拓登は大笑いする。 「鈴音、ありがとな」 無邪気な笑顔で、私の髪をぐちゃぐちゃに乱す。 こんなにも純粋な笑顔の拓登だけど、ふとした瞬間とても悲しい顔をする。 拓登はたくさんの悲しみを抱えてる。 私の何十倍も。 「このまま、なかったことにすんの?」 「ん?」 「彼女のこと、このままでいいの?」 「わかんね」 それが正直な拓登の気持ちだと思った。 私だってわからない。 どうするのが正解なのか。