「家、帰りなよ」



私がそう言うと、拓登はお前に言われたくねーよって私の頭を叩いた。


「何が許せないのか、はっきりお父さんに言った方がいいよ」



また私がそんな生意気なことを言うと、拓登は笑った。



「お前もな!」






家になんて帰りたくない。


お父さんの顔も見たくない。


でも、私には家に帰る以外に道はない。





汚いアイツの金で、私は生きているんだから。





「お父さんに、ちゃんと話せるか?俺がついてってやってもいいけど」



「いいの?」



「お前、1人だと感情的になって、泣くか切れるかわめくか・・・・・・ だろ?」




ひとりで話せそうだったら、話してみると答えたけど自信はない。



「だめだったら、お願いします」



しおらしく頭を下げると、拓登は私の頭をぐいっと引き寄せてくれた。




「任せとけ。俺はお前が幸せになるまでちゃんと見守っててやるから」





嬉しいのに、ちょっと寂しい言葉。


私が幸せになったら、拓登は消えてしまうんじゃないかなって不安になる。



それならずっと不幸でもいい。