千夏も本を開きながら、ちらりと謙太の方を伺うと 千夏の様子は気にも留めずに、本を読み続けている。 閉館時間までは、あと三十分ほどしかなかった。 こんなチャンス、きっともう二度とない。 自分に言い聞かせて もう一、度小さく深呼吸した。