― Summer Drop ―

話があるとだけ言うと

少年は謙太の返事を待たずに歩き始めた。

仕方なく、謙太は彼の後に付いて行く。

神社の境内へと続く階段の前まで来た所で、

少年は立ち止まった。

階段の両脇に並ぶ木々が影を生み出し、

微かに吹く風が、木の葉を揺らして光を散らす。



「オレに用があるんだろ?」

立ち止まったまま、口を開こうとしない少年を怪訝に思い、

謙太が尋ねる。