「まさか本当にいるとはねー。正直驚いた」


夕月さんはココアを飲みほしてから私の方を見た。

すっと目を細める。


「似てるね。まるでほんとの兄妹みたいだ」


……兄妹。



私は立ち上がった。

「マグカップ、私が洗いますね」

「ああ、ありがとう」


空になったマグカップを2つ持って流しに立ち、あわあわのスポンジでそれを洗った。


さてと、と言って夕月さんも立ち上がり、浴室のほうへ消えていった。



あーあ、行っちゃった。
もう少し話してたかったな……

って!

いやいや、そんなことない!
違う違う!


頭をぶんぶんと振って洗い終わったマグカップを棚に戻した。


色も形も大きさも違うマグカップが、
棚の中で妙に浮かび上がって見えた。