秘密の鎖


「お母さんの、昔の恋人ですかっ」

「え?」


驚いた顔でこちらを見ている。

うわ、やばい。
変なこと聞いちゃった…


「ややや、何でもないです、気にしないで!」


慌てて言うと、男の人はぷっと吹き出した。


「恋人なんかじゃないよ。むしろその逆。大嫌いだよ」


にこやかに言ったけど、私はゾクリとした。



そっ、そっか。


お母さんもひどいことしたって言ってたし、そんなわけないか。

私って究極のバカ……



「よし、じゃ家まで送るから車に乗りな」


そう言って、助手席のドアを開けてくれたけど。


全然有り難くなかった。


「……いや」


ぷいっとそっぽを向いた私を男の人は黙って見つめていたけど、しばらくして、そうだね、と呟いた。


「君と話がしたいから、乗ってくれないかな」

「絶対嫌です」

「大事な話なんだけど」

「嫌ったら嫌です」


ふぅ、とため息をつかれた。



何よ。
大体こんなことになったのはあなたのせいなんだからね。

絶対乗らな……



「キャ!」