あたしは胸が高鳴った。だって聞いたことがある、大好きな声が聞こえてきたから。 「あーさほっ」 もう一度名前を呼ばれて、その声の方を振り向いた。その瞬間、あたしは持っていた洗濯カゴを落としてしまった。 ────だって……だって。 「あ、荒……ちゃん?」 あたしの目の先には、午後に会う約束をしていた荒ちゃんがいた。 「な、なん……」 「へへっ♪麻帆のに会うの待ちきれなくてお昼前に来ちゃった」 そう言ってはにかむ荒ちゃん。 嘘……夢じゃないよね?本物の荒ちゃんなんだよね?