「そ…んなの…嫌だ。あたしは距離なんて置きたくないっ」


俺だって嫌だよ。麻帆が他の奴んとこ行っちまうかもしれないんだから。


だけど…このままじゃダメなんだよ。このまま麻帆と普通に付き合っていたら、未来が見えない。


「あたしが今、大塚くんといるから?でも、あたしはただの後輩としか思ってないんだよ?」


「…ごめん」


「荒ちゃん…信じてくれないの?いつもみたいに…信じてくれないの?」


「信じたいよ。だけど…今は…」


言葉に詰まった。麻帆の泣き声と大塚って奴の慰めの声が聞こえたから。


聞きたくない。お前らの会話なんて耳に入れたくない。


「ごめん麻帆。…じゃあ電話切るから」


「ま、待って…」


麻帆のかすれた声が聞こえた。