一体私は何を望んでいたんだろう。目の前にある本当の幸せは、決して見えない。けれども、それを信じてこそ幸せになれるのではないか。今はそんなふうに思える。

 そして、長く一緒にいればいるほど不満や相手の嫌なところも見えるのだが、それさえも受け止め、愛することが出来るのが本当の愛というものなのかもしれない。

 もうあの頃の和哉はいないし、仮にあのまま付き合っていて、結婚しても上手くいくとは限らない。夫である龍揮だからこそ、私は我慢することなく、自然でいられるのではないかと思った。

 きっと、またたくさん喧嘩もするだろう。そして不満が募り、また昔を思い出すこともあるかもしれない。それでも、私は龍揮となら互いを受け止め、死ぬまで愛し合うことが出来ると信じられる。


 ♪ I was not able to believe in Though I loved it that much ♪ 


 Parting tears もうこの歌を歌っていた頃の私はいない。