サッカーを始めて半年近くが経った頃、私は持ち前の運動神経を活かし、社会人チームの大会で活躍するようになった。ポジションはMF、右ハーフで、サイドから駆け上がり、センタリングやスルーパスをする。そんなアシストが上手く出来るようになり、スタメンから外されることはなかった。

 メンバーは武山と、他の数十人がいたのだが、女性は私だけだった。けれども、それはスポーツなので、女性だからといって特別視する者は居らず、私はそれが嬉しかった。

 週に二、三回、近くのグラウンドを借り、練習に行っていたのだけれど、疲れはさほど感じない。
 
 そして試合は日曜日にあり、試合の後の打ち上げにも行っていた。大人数で飲んでいると、必ずと云っていいほど、武山が隣りに座り、私はうっとうしく思っていた。やたらと、手に触れてきたり、私の飲んでいるコップを勝手に自分の口に付けたり、不愉快極まりない。

 お世辞にもカッコイイとは云えない武山は、自分に自信だけはあるようで、自慢話しばかり話すのだ。武山は猫背で体格がよく、顔はニキビだらけで目は細い。ハッキリ云って不細工だ。サッカー以外では関わりたくないと思っている。

 打ち上げの後、どうにもストレスが溜まり、私はヨシ君に電話した。