和哉と電話が終わると、私はとても満たされた気分だった。

 そういえば、和哉の家にはお兄さんが一緒に住んでいるはずなのに、いつも遊びに行くといないけれど、どんな人なんだろう。あまり、お兄さんの話しに触れられるの好きみたいじゃないし、仲が悪いのだろうか。ふと疑問に思ったのだが、携帯の着信ですぐに忘れた。
 
 電話の相手は隼人だった。


「もしもし」


「もしもし、結麻? 元気か?」


「うん。久しぶりだね。隼人は?」


「元気だよ。和哉とは上手くいってるの?」


「まあね」


 私は何だか答え辛い。
 すると、隼人は少し声を低くして訊いた。


「あのさ、昨日美久に呼び出されて会ったんだけど、全然会ってないんだって?」


「うん……。美久、何か云ってた?」


「いや、別に対したことじゃないんだけど。和哉と上手くいってるなら良かったな。じゃまたな」


 隼人の様子は明らかに変だった。美久にどんな話しをされたんだろう。私と和哉が上手くいってるのが、気にいらないような感じがした。

 私はしばらく考えていたのだが、和哉に電話することにしたのである。すると和哉は携帯にはでなかったので、自宅に電話したが出なかった。

 あれ、和哉どこか出かけたのかな? まあいいや、明日会えるし。
 その時は、たいして深く考えもしなかったのである。