私は内心少し寂しい気もしたが、それは情が残っているせいだろうと思った。決して愛情ではなく、一緒にいた時間があるからなのだと。

 しかし、次の大輔の言葉で何とも思わなくなったのである。むしろ別れて良かったと思うほどに。


「別れるなら、今まで俺がプレゼントした物全部返せよ」


 何なの、勝手にプレゼントしたのは大輔なのに。それに、私は大輔から高価な物を貰っても、私は大輔に高価なお返しなんて出来なくて、その度に『全然見合わないお返しだな』って云われたこともあり、傷ついてきたのに。


「そんなの無理だよ。大輔は人よりお金持っているかもしれないけど、無理」


 そう云い残し、私は大輔から去ったのである。別れて良かったと心底思った。その瞬間、和哉の顔が見たくなった私は、携帯を取り出すと和哉に電話をかけた。


「もしもし和哉? 今忙しい?」


「いや、今隼人と一緒なんだ」


「そっか、ごめんね。また掛け直すよ」


「待って、俺が掛け直すから」


 そう云って電話を切ると、私は自宅への道を歩きながら考えていた。