「寒くない? さっき来る時、髪も濡れてたし」


「大丈夫。元気だけが取り柄だからね」


「そんなことないよ。結麻ちゃん、本当に綺麗だし……」


 和哉にそんなこと云われて私はまともに顔を見れず、自分の頬が熱くなったのが分かった。

 河川敷に着くと、川の近くにある一つのベンチに腰掛けた。和哉は私のすぐ隣りに座ることに気がひけたのか、少し間隔を空けて座ったのである。


「晴れてたら、星も見えただろうにね」


 私が真っ暗な空を見上げながらそう云うと、和哉も空を見上げる。


「そうだね。一等星なら晴れた夜、本当に綺麗に見えるから」


「星に詳しいの?」


「まあね。そういう本読むの好きなんだ」


 ロマンチックな和哉に私はときめいていたのかもしれない。