カラオケ店は駅からすぐ近くで、日曜ということで混雑していたのだが、大輔は待つことにしようと決めたようだった。

 
「最近、夜どこか出かけてるの? 電話しても出ない時あるから」


 ドライブに行った後、美久や地元の友達とクラブやバーへ行ったりと、確かに夜遊びばかりしていたなと思い返した私は無難に答えた。


「美久と遊んでたりして、会話に夢中で携帯気付かない時あるみたい。ごめんね」


「ふ~ん。結麻はこれからどうするの? 真面目に将来とか考えてる? 俺は今、親父の会社継ぐために、経済だの経営学だの色々な本読んでるよ」


 大輔の父親は会社の社長なので、大輔は父親の会社で真面目に働いているのだ。そんな大輔から見れば、私はどうしょもない人間に映っていたのだろう。だから、将来を真面目に考えているのか度々訊くのかもしれない。

 当時の私は、将来を真面目に考えることすらしなかったし、大学を中退してから何もやる気がなく、アルバイトをしたり、しなかったりの日々だった。だから大輔とは合わないと思い、軽く反発する気持ちもあった。


「へ~偉いね。私はそのうち考えるよ」


「そのうちじゃなくて、早いうちに考えなきゃ駄目だよ」


 その時、カラオケの順番が回ってきたので私は溜息を吐いた。大輔は説教じみたことを云い、挙句に自分自身を褒めるところがあり、私はそんな大輔の性格の一部分が嫌いだった。