家に着いた時、俺の心臓は破裂するのではないかと思える程速かった。

 自分の部屋に入るなり、落ち着くまでどのくらいの時間がかかっただろう。

 ポケットから携帯電話を取り出すと、土偶に電話をかけた。今度は繋がったようで、呼び出し音が聴こえる。


「はい。里中大丈夫だった? 今家?」


「あぁ……。なぁ土偶、どうして俺が小学校の前にいたこと知ってたんだ? それにさっきの……」


 俺がそう訊くと、土偶は低く不気味な笑い声を洩らした。


「そんなことか。まぁね。それより、里中にも子供達の笑い声とか話し声聞こえたんでしょ?」


「聞こえたよ……。あれ混線じゃないのか?」


 ただの混線だと云ってくれ。そうでないと怖いじゃないか。
 俺の願いも虚しく、土偶はハッキリと云った。






「混線じゃないよ。だって、あの子供達笑いながら云ってたじゃん――お兄ちゃんも一緒に逝こうって」

   
 またしても俺は凍りつき、受話器を持つ手が小刻みに震えたのだった。