「ちょ、ちょっとトシユキ君」 店の奥から、オーナーシェフの堤下さんが出てきた。 「マズいよ、他のお客さんもいるのに……。彼女もさ、可哀想だよ」 そう言って堤下さんは、ナツミをチラリと見た。 「すいませんね。コイツが、あまりにも馬鹿な事をほざくモンで」 「うっ……」 ナツミの瞼(まぶた)から、うっすらと涙がにじみ出てきた。