「トシユキ、先行くぞー」



そう言うと、同僚の猿山は足早に会社へと戻った。



昼メシを食った後の、帰り道の公園。



全フロア禁煙と言う鬱陶しい(うっとうしい)ルールの為、オレはいつもこの公園で煙草を吸っている。



白いベンチにどっかと座り、胸元のポケットから煙草を出し、火を付ける。




あれ、付かない。


カチッ、カチッ、カチッ、カチッ……



「ええい、クソッ!」



バキッ!!!



オレはライターを地面に投げ捨て、思いっきり踏みつぶしてやった。


100円ライターだ。買ったばかりだが、別に構いやしない。



「ケッ」




仕方がないので、しばらくボーッとする。



ただ芝生が無駄に広いだけの公園だが、オレはお気に入りの場所だ。