観覧車のドアが開き、ナツミは扉の前に立った。
「あたしからぁ……。ヒック、降りるねぇ……」
そう言うとナツミは、かけ足で観覧車を降りた。
オレはやはり、声が出なかった。
「んっ……!!」
ナツミは動きが止まり、ブルブルと身体を小刻みに震わせた。
ギューッと、自分のスカートを必死に握りしめている。
「………んあっ!!」
そう言うとナツミは、信じられないスピードで闇の中へ消えて行った。
「………」
オレは……。
「お客さん? お客さん?」
「ハッ!?」
「もう終わりですよ。降りてください」
ボーッとしている所を係員に注意され、慌てて観覧車を降りる。
「クソッ!!」
眩しく(まぶしく)光るイルミネーションの中に、ナツミの姿はどこにも無かった。
♪~
園内のスピーカーからは、とても陽気な音楽が流れている。
そこには、指輪を片手に呆然と立ちつくす、間抜けなピエロしかいなかった。


