『営業課の、石上さん、ですよね……?』 『あ。いや、何でもありません。資料、ちゃんと提出しておきますね』 やはり、彼女のあの曇った表情が気になる。 あれは、人に何かを訴えかけようとしている目だ。 しかも初対面なのに、明らかに彼女はオレの事を知っていた。 そしてオレは、彼女の事を何も知らない。 何かこう、スッキリとしない気持ちに包まれた。