微妙な空気のまま、オレたちは店を出て、園内を歩いた。
しかし、周りを見る事もなく、ただオレの前を歩き続けるナツミ。
「オイ」
「………」
ガン!!
フラフラとしていたナツミは、園内の柱時計に頭をぶつけた。
「痛ぃ……」
膝をかかえて、うずくまるナツミ。
「ナツミ……」
オレは、思わずナツミに駆け寄った。
「疲れたか? じゃ、もう帰るぞ?」
「あ……!!」
突然、ナツミはオレの方を向き、ブンブンと大きく首を横に振った。
「そうじゃないの」
ナツミは、急にパアッと笑った。
「げ、元気元気!!」
「………」
「ほ、ほら、次はあれ乗ろ? ね?」
ナツミの指先には、バイキング船があった。
「ああ」
オレには分かる。ナツミは引きつった笑顔で、自分の感情をごまかしている。
「ねっ? 行こう?」
「そうだな」
さっきのキスの話を、そんなに気にしてるのか……。
何でか知らないけど、悪い事を言っちまったかな。


