オレの破裂と15分前


「いや、もういいから。座って」


「あ、ハイ」



彼女は、素直にちょこんと椅子に座り直した。



「で、この資料を渡したいんだけど」


「あ、ハイ! お預かりします!!」


「じゃぁ、頼んだよ」



オレはクルリと背を向け、その場を去ろうとした。



「あ……」


「? 何?」


「あの……」


「え?」



彼女は何かを伝えたそうな目を、オレに向けてきた。



「営業課の、石上さん、ですよね……?」


「??? そうだけど?」



「あ。いや、何でもありません。資料、ちゃんと提出しておきますね」


カタカタカタ……


そう言うと彼女は、再びキーボードを必死に打ち始めた。


何処となく、影がある感じだ。



「失礼しました」



オレはフロアに一礼をし、総務課を後にした。