「はぁぁぁ……。全部やり直しだぁ」
彼女は弱々しい手つきで、再びキーボードをカタカタと叩き始めた。
「あの」
「えっ……。キャーッ!!」
ズデーン!!
彼女は驚きのあまり、椅子から転げ落ちた。
ざわっ……
フロア中の視線が、一斉にこちらに集まる。あーあ、恥ずかしいったらありゃしない。
「いててて……」
彼女は腰に手をあてながら、ゆっくりと自分の席に座り直した。
「あ、あの、何時からそこにいらっしゃったんですか?」
「さっきから、ずっといたけど」
「そ、そうなんですか。ゴメンなさい。あたし集中しちゃうと、周りが何も見えなく★☆▲□●…」
「え?」
彼女の声はとても細く、最後は何を言ってるのか分からなかった。
「あ、あの!」
彼女は突然、ガバッ! と慌てた様子で椅子から立ち上がり、
「ほ、本当に、申し訳ございませんでした……」
オレに深々と頭を下げ、丁寧なお詫びをした。いや別に、そこまでせんでもいーのだが。


