「風邪引くよ?」
そう言ってナツミは、オレに傘を差し出した。
「あたしは、平気だから」
そう言うナツミの顔は、一瞬でずぶ濡れになっていた。
「いらねぇよ」
「そう……」
ナツミは、差し出した手をゆっくりと引っ込めた。
「そうだよね。もう受け取る理由なんて、無いもんね……」
ナツミの目からは、ゆっくりと涙がこぼれ始めた。
「あたしは、もう……」
違う。
「これ以上、トシユキとは……」
違う。
「ゴメンね。迷惑ばかり、かけちゃって……」
違う!
「違うわっ!!」
「トシユキ!?」
突然大声を上げたオレに、ナツミはとても驚いた。


