オレの破裂と15分前



コンコン。ガチャッ。



「失礼します」



総務課のドアを開け、中に入る。


出入り口側に一番近いデスクに座っていたのが彼女だった。




カタカタカタカタカタカタ……カタッ!!



彼女はパソコンに向かい、必死に伝票の入力作業をしていた。




「あの、ちょっといいかな?」


「えーとこれが、三星物産で、で、これが……」




そう言いながら彼女は、モニターと伝票にへばりついていた。すぐ横にいるオレの存在など、全く気がつかない。




「あの、忙しい所悪いんだけどさ」


「だからこれが……。こうなるから……。こうで……」



残念な事にオレの声は、彼女に1ミリも届いていない様子だ。


それにしてもコイツは、いちいち口に出さないとキーボードが打てないのか。




「あ……」




突如、彼女の動きが止まった。顔がみるみると青ざめてゆく。どーやら何かミスをしたらしい。



「あああ……」



そして、思いっきり頭を抱え始めた。



「バカだなぁ、あたし。バカって言う生き物は、あたしの事を言うんだろうなぁ……」




そしてこの女は、オレの存在にいつ気がついてくれるのだろうか。