ありがとう。 そして、さようなら。 ―――翌日、私は恭平さんの家を出た。 夜のうちに荷物をまとめ、朝はいつものように恭平さんを見送った。 パタンと玄関が閉まったのと同時に、涙が溢れて止まらなかった。 たぶん、二度と会わない。 最後の言葉はいつもどおり「行ってくる」。 ……もう、「おかえり」を言うこともないんだね。 .