それから二人で荷物をまとめた。 もちろん髪を乾かした後で。 部屋はしばらくこのまま借りておけばいいと彼は言う。 部屋を後にして、車に乗せてもらう。 私はなんだかぼーっとして移り変わる景色を眺めていた。 車の中は静かで、それが意外と心地よかった。 数十分走ったあたりで、車は地下駐車場に吸い込まれていく。 どうやら彼の家に着いたようだ。 「ところでおまえ、俺の名前ちゃんと覚えたか?」 車を停めながら、唐突に話しかけられた。 .