素っ気なく片桐くんはそう言って、私の手を振り払った。 「片桐く…っ」 「そんな顔で見たって、本当にもうダメだからな」 ため息混じりに言い放ち、片桐くんは顔を伏せた。 う…片桐く〜ん…っ 「あ〜らら?また片桐くんは美羽ちゃんをいじめてるの??」 「へ?」 そんな声がどこからか聞こえてきて、いきなり誰かに抱き寄せられた。 フワリと香水の匂いがして、一発で誰だか分かる。 「あ、先輩!!」 「はあ…またややこしい人が……」 蜂蜜色の髪の剣道部三年、南条 椎名(ナンジョウ シイナ)先輩。