南条先輩の大きな声が、空に響いて消えていく。
「………服?」
「市が運営してる武道館。そこ、制服じゃないと学生は入れないんだよ?」
南条先輩はそう言って、私を見つめた。
ああだから先輩は制服なんだと納得したと同時に、私の額から嫌な汗が流れ落ちる。
私……私服だ。
「今から家に帰って着替えて…う〜んと、武道館まで何分だっけ?えーと…」
考えなくても、どんなに馬鹿でも、分かることはある。
絶対に…間に合わない。
「そんな…っ」
「間に合わないでしょ?どう考えでも。だから諦め―――」
「………ない」
「え…?」
「絶対に…諦めないもん!!」
さっきの先輩の声より大きな声でそう言って、私は走った。
南条先輩の声が後ろから聞こえるが、そんなのはお構いなしだ。



