“好き”は言えるけど、“好き”を表すことは難しい。

私には出来ない。


「………」


このままじゃ嫌だけど、このままの距離でずっといたい。

側にいて。

一緒にいて。

二人で笑いあえたら、それで良いと思う。

それじゃ、ダメだと思う。


「………好き」


小さい声で呟いても、ダメだって分かってるはずなのに……


「おい、橘」

「ん、あ、なに?」

「……ううん、別に」


片桐くんはそう言って、フイッと私から視線をそらした。


「………」


こんな会話でもいい。

ね、そうでしょ?


「……もう、大好き!」


私はそう言って、片桐くんの腕にしがみついた。

こうして、私の波乱の合宿は終わりを迎えたのだ―――…