片桐くんは私の顔も見ずにそう言って、私の背中を優しくさすった。
「落ち着け。な?」
「……うん」
片桐くんの優しい声が頭に響いて、徐々に徐々に気持ちが落ち着いてくる。
「ありがとう片桐くん!!やっぱり、私は片桐くんが大好―――」
……大好き。
そう言おうとしたら、言葉が何故か詰まってしまう。
「…あ、えと…ありがと」
「………橘」
片桐くんはポツリと私の名前を呟いて、ピタリと立ち止まった。
私もそれにつられて立ち止まるが、片桐くんの顔をうまく見られない。
「な、なに?」
「橘…こっち見ろよ」
「え―――…?」