ビクリ!と、私の体が止まるのが分かる。


「私、片桐さんのことが…」


“―――好きです!!”


強い風が、私の長い髪を揺らした。

私が毎日言っていた言葉。

聞き飽きるほど口ずさんでいた言葉。

他の人に言われるなんて、思ってもみなかった。


「……私、その、片桐さんに一目惚れで」


女の子は、落ち着きがあって可愛らしくて…

“落ち着きがあって、謙虚”


「……考え…させてくれ」

「―――っ…」


考えるということは、その気が少しでもあると言うこと。

片桐くんが…他の人…と?


「そんなの…嫌だ…よぉ」


大好き…なのに。

大好きなのに。本当に…


「片桐くん、大好き…だよぉ…」